※この記事は2025年4月6日 19:57にnoteに投稿しています。
①TuneCoreのガイドライン
前回適当に投稿したAI生成物に著作権が発生しないという記事がやたら読まれてるので第2弾です。4月ちょっと外出する機会が多くて移動中暇なんで書きました。まぁいうてどれだけPV増えても1円にもならないんですけども。
で、つい先日大手ディストリビューション(楽曲リリースの代行業者)のTuneCoreからこのような発表がされました。
AIを使用したリリースに関するガイドライン
当サービスでは、アーティストの創造性や権利を大切にし、信頼性の高いサービスを提供することを心がけています。近年、AIサービスを活用した音楽制作が広がる中、当サービスではAIサービスのみで生成された楽曲の配信について以下の要件を定めております。
リリースに関する要件
AIサービスを使用したリリースは、以下の全ての要件に当てはまるものでないかぎり、審査の過程でリリースが承認されない(あるいは配信が中止・停止される)可能性がございます。楽曲が100%AI生成によるもの(楽曲のすべての要素がAIによって生成され、人間による作曲等の創作的表現が生成の前後を問わず一切含まれていない場合をいい、人間がクエリ入力のみを行った場合も含みます)でないこと。
AIサービスによるコンテンツの生成及び当該コンテンツの配信等による利用について、必要となる許諾等が全て取得済みであり、生成に際して用いられる学習データ等の構成要素(楽曲・歌詞・原盤等を含みます)に係る第三者の権利を侵害するものでないこと。
なお念のため、上記の全ての要件に当てはまる場合あっても、当社の利用規約または配信ストアの定める基準等に基づき、当社の判断により承認されない(あるいは配信が中止・停止される)場合があります。
要約すると「100%AI生成の曲は停止するし中止するお」。そして「その判断は弊社がするんだお。」って内容です。Sunoで課金して使用権利を持ってようが出力したものそのままではアウトだお。らしいです。
理由も書いてますが、本物のアーティストの権利や創造性を守るためだそう。言い換えればAI生成はアーティストじゃないから却下。
まぁ確かにたまにX見てたら綺麗な絵が流れてきてプロフィール見に行ったら「AIクリエイター」って自称してる人多くていつも笑ってしまう。いやただのAIサービス利用ユーザーやん。”AIクリエイター”はAIを作っているプログラマーやエンジニアの事を指す。それを理解してるAIユーザーやAI系インフルエンサーはクリエイターと名乗っていない。
ちなみにSuno自体は各種サービスで配信していいよって言ってますが、「各国の法やサービスの規約に順守する」と発表しています。なので文字通り各社の規約に従いましょう。
あと前回の記事↓でも触れましたが、現状収益化だけが目当てのAI生成BGMチャンネル及び各種サブスクでの配信がゴキブリくらい爆増しています。大半は業者によるもので、その他はそれらの模倣および各種情報商材(有料noteやサロン)の影響。
以前から音楽界隈で問題視はされていましたが、ここに来てようやくディストリビューション側が動きました。(正直動くとは思わなかった。)
2025年から開始されたTuneCoreの無制限配信できるUnlimitedプラン、てっきり業者のおもちゃになると思ってました(一部すり抜けAIが意気揚々と活動してますが)。どうせやるなら徹底的にやってもらえればおもろい。でも順次禁止していくのは各種配信サービスだけで、YouTubeでは今まで通り作業用BGMの投稿ができるから安心してくれ業者や商材屋のみんな。
②必ず現れるのは「自称自作曲」及び「編曲は自分のオリジナル」という虚偽の主張
ほぼ毎日のようにXで絵師やイラストレーターが「AIトレースなのでは?」と疑われたり「どうせAI生成っしょw」と色々問題になってます。そのまま垢消し逃亡するAI黒確定マンや手描きである証明を公開する人類で盛り上がっています。
今のうちに予言というか予告しておきますが、AI音楽界隈も10000億兆万%このタイプのバケモノが現れます(というかもう既にいる)。「一部Sunoで残りは自作です。」と自称する100%AI生成の課金ユーザーが。特に増えると予想しているのが「歌詞は自分で考えています」という令和版の佐村河内守。
いや絶対ChatGPTですやん^ω^;;;;;(突然詩人増えすぎやろ)
逆にマジで自分で作詞してる人は証明のしようがないので大変だろなと思う。素人はほぼ黒判定されると思うんで、何かしら実績がないと厳しいのでは。最近では小説のコンクールや同人イベントにも自作と偽ってるチャッピー(ChatGPT)が混ざることも多いようで、各界隈が警戒しています。
ぶっちゃけどこまで運営を誤魔化せるかどうかのイタチごっこになるとは思うんで温かい目で見守っていきます。
規模の大きい業者はそのへん賢いので自作の主張はせず、まだ管理の緩いディストリビューションに逃げると思いますが、個人で稼ごうと必死にリリースしていた副業ニキ達は自作を主張して悪あがきを絶対します。(というか面白いのでして欲しい。)
というのも、SunoAIにも関わらず自作発言をし、音楽(?)活動している自称音楽クリエイターを去年からちらほら見かけてます。僕ら本業勢から見ればどう見てもAI曲だが、バレないと思っているのか気にしていないのか必死に自作アピールしてるのは不憫可愛い。
でもぶっちゃけそこまでして音楽家を名乗りたいのは音楽家側からすればちょっと嬉しい。「憧れ、あるんやなぁ・・・」と。

でも正直聴いてる側、リスナーの大半は作曲者がAIだろうが人間だろうがそこまで気にしてません。料理と同じで美味けりゃそれでいい。作ってる人がどんな人なのか、どういう意図や創造性があるのか知りたい人は所謂”通な人”。
もし自称自作曲勢や一部自称自作勢がSNS等で現れた場合はこの記事のURL送ってあげてください。僕が優しく包み込みます。
③【重要】ミックスやマスタリングでオリジナルは付与されない
これも前回の記事で触れてますが、基本的に音量のバランスを揃えたり簡単な音足しや音域削ったりしただけの”調整”はアレンジには含まれません。よくAI生成BGMチャンネルの概要欄に「独自の編集を加えています。音追加してます。手作業追加してます。なので半分はオリジナルです。」的な文面を見ますが、メロやコードの作成、歌詞が曲の99%で残りは1%です。なのでその1%の作業で”オリジナルの主張”は難しい事は踏まえた方が良いでしょう。
料理で例えるなら冷凍食品をチンして皿に盛って「私のオリジナルレシピです。」って主張しているのと同じ。
というかそもそもMIXやアレンジで編集編曲を自称したいならせめてノイズは消せ。
④各種配信サービスも順次生成AIに対応中
他のディストリビューションはどうなんだと思って色々検索したら、日本のディストリビューションでは既にAI生成楽曲タイトルの審査が通らなくなってきているらしい。
って思ってたら既に配信停止され始めている業者がいた。

気になるのは海外のディストリビューションの動向。海外に多い利益主義の会社はAIであろうがなんだろうが利益になればそれでいい考えなので対応しないとこは多いんじゃないかと踏んでます。ぶっちゃけアーティストに寄り添う事を社訓にしているSpotifyですらストリーミングサービスワースト1位の還元率だしあんま期待はしていない。
⑤そのうち検索フィルターで排除できるようになる→(追記)既に始まってたわ
特にAI化が進んでいるイラスト界隈ですが、既に各種フリー画像サイトがAIをフィルタリングで排除できるように対応してきています。

で、音楽もそのうちYouTubeや各種サブスクでも対応されると予想しています。そうなるとAIアーティストの再生数が暴落するが、同時に配信サービス側の利益も下がるので実際どうなるかは不明。
ディストリビューションはアーティストを守るがストアは果たして…
って思ってたらもうなってました。利用者約1000万人のフランス大手の配信サービスDeezerはほぼ100%でAIを検知し、フィルタリングで除外できるそう。にしても毎日2万曲のアップロードはえぐい。宇宙ゴミならぬ音楽ゴミ・・・。

⑥LoFi、R&B、ケルト、バトル系、和ロック、ジャズ、Kawaii系はほぼAI
ざっと調べましたがAI生成ユーザーのチャンネルはほぼこのジャンルです。特に多いのがぶっちぎりでLoFi、R&B次いで80年代レトロポップ。ケルト系のファンタジーは初期に大量発生していましたが全体的に弱火になっています。最近ではボサノヴァ系も増え、「大量発生し、食い合った結果別のジャンルに退避→そこでも食い合ったら別のジャンルに・・・」の繰り返し。
LoFiが多いのは超大手チャンネルの「LoFi Girl」を模倣し始めたのが元祖。そしてその模倣チャンネルを模倣し、それを模倣するというウロボロスの輪状態。既に1000チャンネル以上模倣AIチャンネルが湧いてるんで興味ある人はYouTubeで検索してみるといいです。(多すぎて興味なしにいれても湧いてきます。)
ちなみにAI生成チャンネルかどうかの詳しい判断は前回の記事でも紹介したこの記事を見ればいいと思います。BOTによる不正再生なども細かく触れてくれてます。(ぶっちゃけちょっと記事の参考にしてる)

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